みなさん、新年おめでとうございます。岐阜県郡上市でオーガニックな農家民宿『くらしの宿Cocoro』を営むただっちです。今年も地に足を付けて、農とくらしをゆるゆると頑張ります。応援よろしくお願いしまーす!
薪ストーブをDIYで設置してから約2ヶ月半。11月中旬くらいからはほぼ毎日焚いています。
寒い日にはぜいたくにも、朝晩と2回も焚いています。その暖かさは今までに使ってきたいろんな暖房器具と比べても、異次元レベル♡ まさに一家の大黒柱! よっ、大統領! なーんてかけ声をかけても、決して過言ではありません。

そんな大黒柱さまを昨年末に掃除しましたので、その様子をお伝えしたいと思いまーす。今までの記事はコチラです。
薪ストーブの煙突とは
薪ストーブの煙突にはシングル(一重)とダブル(断熱二重)という、2種類があります。シングルには銀色と黒があって、ダブルは黒のみ。そしてうちはシングルで銀色です。実はこれ、時計ストーブなどでは一般的ですが、本格的な薪ストーブに合わせるのはけっこう珍しいパターンだと思います。
自分たちでDIYで薪ストーブを設置することに決めた時に、コンサルの大屋さんからアドバイスをもらい、シングルにしようと思ったのです。ダブルは重くて壁への固定が難しいので、素人がDIYで設置するのはちょっとハードルが高いのですね。
ちなみに薪ストーブの設置はこんな感じでやりましたよー。気になる方はぜひトライしてみてくださいね〜。
ところでみなさん、薪ストーブの煙突って黒いイメージがありませんか?
ワタクシにはありました。そして不勉強だったこともあって、銀と黒はただ単に色が違うだけ、イメージの問題だとばかり思っていました。今思うと不勉強で恥ずかしいんですけど…。でも色の意味ってそうじゃないんですね〜。そこには大きな理由があったんです。
その理由とは
それは輻射熱です。
さて、輻射熱ってなんでしょう? よく聞く言葉ですが、文系のワタクシにはイマイチ意味が分かりません。
分からないことは勉強のチャンスかも? という訳で、さっそく調べてみました!
輻射熱(ふくしゃねつ)とは、遠赤外線などの熱線によって伝わる熱のことで、太陽や機械(焼成炉など)から放出される熱は輻射熱になります。輻射熱の特徴は熱線(電磁波)が何らかの物体に当たった際に熱が発生します。電磁波のため空気に影響されず、冷たい風が吹く屋外でも熱が直接伝わります。建物内の熱の多くがこの輻射熱の影響によるもので、夏の暑さ対策をする上で、輻射熱対策は欠かせないと言えるでしょう。
https://www.e-lifetech.com/blog/2837/
薪ストーブで説明すると、 輻射熱というのはですね、ストーブ本体や煙突が出す電磁波(赤外線)のことです。これがいろんなものに当たって、そこを暖めるのです。エアコンの様に暖かい風が吹くという訳ではないんですね。
通常は部屋を暖めるために、この輻射熱を最大限に利用できるように考えます。なのでストーブ本体も煙突も黒い色をしているのです。小学校の時に虫眼鏡で黒い紙と白い紙に光をあてた、あの実験結果ですね。色が濃い方が熱を吸収したり、発したりするのです。
ただし、それは壁や構造物に対して十分な安全性(=距離)を確保して、煙突を設置できる場合に限ります。
薪ストーブを後付けするような場合、そしてそれが古民家だったりすると、どうしても煙突の取り回しにムリが生じます。
新しい家だと不燃性の新建材が使われているので(新建材の是非はここではさて置きます)、煙突を取り回す自由度が高いのですが、古民家ではなかなかそういうわけにはいきません。狭〜いすき間を通したり、土壁を抜いたり、すぐ近くに燃えやすい柱や鴨居があったり、ということは古民家にはよくあるケースなのです。
ちなみに『くらしの宿Cocoro』はこんな感じ。

そんな状況で安全性を確保するための選択肢は、およそこの2つです。
①断熱2重煙突(ダブル煙突)を使う
②シングルであれば銀色を使う
でも①はさっきも書いたけど、DIYでの設置が難しい。ワタクシは自分たちで設置したかったので、②のシングルで銀色の煙突を選択したのです。
シングル煙突のデメリット
シングル煙突は確かに軽くて設置がとても楽なのですが、デメリットがあります。それは外気温で冷えやすい、ということ。ダブル煙突に比べると断熱材も入っていないし、厚みもペラペラだから仕方ないのですが…。外気温が低いと煙突の中で煙が冷えて固体化して、スス(クレオソート)がこびりついてしまうのですね〜。
このススに火が付くとあな恐ろしや、煙道火災になります。煙突の中がボーボーと燃える、その温度なんと1000℃以上という、ストーブで一番怖い事故です。多くの火災事故は、この煙道火災が引き金になって起こっています。
これを防ぐためには、定期的な煙突掃除が欠かせません!
というわけで、年末の大掃除に合わせて煙突掃除もやってみました! 手順はこんな感じです。
手順① 煙突を外す
まずはストーブから真上に立ち上がっている煙突を外します(※外す前にこの中は掃除しておきます)。

この部分は伸び縮みするので、ネジを2本ゆるめると簡単に外せるのですね〜。

こいつを抜いてから、本格的にガンガンと掃除を始めます!
手順② 煙突内部を掃除する
ちなみに気になる煙突の内部はこんな感じでした。

うわ〜、けっこうビッシリやな …
これは横引きという、煙突の中では一番排煙の速度が下がる部分なんですが、予想以上にススが付いていました。こいつに引火すると、先ほど言った煙道火災になるわけですね。まだ大丈夫なレベルだけど、う〜む、これは冗談抜きで怖いぜ…。
思うにこの時期、まだ良い薪が充分に手に入らなかったので、その辺にあった木を片っ端から燃やしていたのですね。古くてちょっと腐ったような木や、古い建材なんかも燃やしてました。振り返ってみるとこれがススの原因だよなぁ。やっぱり薪はちゃんと乾燥させた、良いものを使うに限りますね!
このススの量にビビりつつも、掃除を進めます。煙突掃除用のブラシを差し込んで、ガシガシとススを落とします。ススは固くはないので、ブラシで数回こするとサラサラと簡単に落ちます。ブラシが入らない狭い場所は、ワイヤーブラシでこすります。
で、ススを落とした後はこんな感じ。

ふう、キレイになってホッと一息。
…でもね、煙突掃除なんてストーブで暖を取るくらしの中では、ごく当たり前の作業なんですよね。わざわざブログにアップする必要もないくらいですよ(笑)
近所のじーさまに言わせると「そんなもん、子どもの仕事や」だったそうです。なので掃除を定期的に行えば、特に問題はないんです。でも薪ストーブ関連のサイトを見ていると「シングル煙突は煙道火災の原因になりやすいのでダブルにしましょう」みたいなことが書かれているんですね。
ここでシングル煙突ユーザーのワタクシは激しく異を唱えちゃいますよ! そんなもん、ダブルを売りたいがための口実やろ!
問題はシングルかダブルかではなく、煙突掃除というストーブで暖を取る以上当たり前のことをサボってしまうことに、根本的な問題があるんだな〜と思いました。
煙突を組み直す
これはなんにも難しいことはありません。外したのとは逆のことをやるだけです。
以上の作業にかかった時間は約30分。慣れた方だともう少し早くできると思います。
煙突掃除をした後の薪ストーブは、ちょっとピカピカしている気がします。よーし、今日もバシッと焚いちゃうからね〜!
掃除をして考えてみたこと
ココでちょっとお金の話をします。
わが家のシングル煙突の代金はトータルで約12万円程度でした。設置はみなさんご存じの通りDIYだったので、お金はかかっていません。
これがダブル煙突だと、煙突の代金が25〜30万円程度かかります。プラスして設置にかかる費用も別途必要(たぶんうちレベルの工事だと20万円前後かな)です。つまり煙突代と設置費を合わせると、45〜50万円くらいかかるのです。
さて、この30万円以上の差額をどう考えるのか。実はこれ、ただ単にお金がある/ない、という話ではないんですよね。
掃除の手間が少なくて済むように高価なダブル煙突を買い、面倒な掃除も業者さんにアウトソーシングする。確かにお金はかかりますが、それはそれで1つの現実的な選択肢です。
でもワタクシたちのように、できるだけ自分たちで考えて自分たちでやる、という選択肢も実はとっても現実的なんですよね。
けれど周りを見ると、あまりに多くの人が1つの選択肢しかないように思っているようです。つまり「高価なダブル煙突を買って作業は外注」という選択肢です。
これは何も薪ストーブに限ったことではありません。農でも同じだし、家を建てる時も、食事でも、服なんかでも、同じことを感じます。
その根っこには、自分にはできないという思い込みがあるのではないでしょうか。
実は自分たちの力でできることは、もっともっといっぱいあるんですよ〜♪ そしてできることを少しずつ増やしていくことが、暮らしを豊かにすることだとワタクシたちは思っています。
ライフワークである「小さな農家を増やしたい」という活動も、そんな目的から始めました。
そんな自分の持つ可能性に気付いて、みなさんが暮らしをもっと豊かで楽しく感じてもらえるといいな〜。そんな風にいつも思っています。
気になる方はぜひ『くらしの宿Cocoro』に遊びに来て、ワタクシたちと一緒に作業をして、暮らしのヒントを見つけてくださーい。暮らしトークしましょうね〜。お待ちしてまーす♪
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