みなさん、こんにちは。岐阜県郡上市でオーガニックな農家民宿『くらしの宿Cocoro』を営むただっちです。
※この記事は2020年1月12日 に公開されたものを、修正加筆して2023年1月に再公開したものです。
突然ですけど、薪ストーブって導入するのにけっこうまとまった額のお金が必要ですよね。お金がなきゃ薪ストーブなんて買えないよ、というご指摘はハイ、ごもっともなんですが…。
でもお金がないという理由で諦めるのはイヤだ! やっぱり何とかして薪ストーブを設置したい! という熱意ある方に向けて、薪ストーブを格安で設置するために押さえておきたい4つのポイントをお伝えしますよ!
4つのポイントの中にはやればやるだけ安くなるものもあるし、メリット・デメリットが共存する部分もあります。ぜひご自身に合った形で格安設置に取り組んでみてください。
ただし、薪ストーブには火災という極めて大きなリスクがあります。格安設置をしつつ、一方で火災のリスクをいかに低くするか。お金よりも何よりもここが一番重要であることは言うまでもありません!
DIYでどうやって薪ストーブを設置するのか、という手順についてはコチラをどうぞ。薪ストーブの選び方、設計、煙突の取り回し、実際の設置、そして煙突掃除までを4回に分けて詳しく書いてみました。
その中でも薪ストーブを設置した時の記事がヤフーやグーグルでかなり検索されています。コレですね。「設置編」が一番読まれているということは…、こりゃみなさんかなりガチだわ(笑)
ということはですよ!
今回の記事もあながちムダ情報ではないんじゃなかろうか? というわけで、1人で張り切っていきます!
薪ストーブの設置にかかる費用とは
薪ストーブの設置にかかる費用は、単純にこの4つです。
- 本体代
- 煙突代
- 設置工事代(設計費含む)
- アクセサリー代
ということは、この4つをいかに下げていくか、ということなんですが、それがなかなかうまくいきません。なぜなら、ほとんどの人が情報や技術(=ノウハウ)を持っていないからです。
ワタクシの場合、ハッキリ言って1〜3まで情報もノウハウも全く何もありませんでした(4に関しては最初からちょっと思うところがありました)。なので本やネットで情報を集めたり、人に質問したり、実際の設置現場を見せてもらったり、いろんな小物を作ってDIYの腕を磨いたりして、まずはノウハウの取得とDIY技術のレベルアップに努めました。
とはいえ、DIYなんて今でも大した腕ではありません。そんな大したことのない細腕でもやればできるというのが、ひょっとしたら最大のポイントかも知れません。
では具体的に細かく見ていきましょう。
薪ストーブ格安設置 その①
本体の価格を下げる
そりゃそーだわ、という話です(笑)
そんなこと誰でも思いつくってーの、という話です。でも、実はここに薪ストーブ格安設置における最大の落とし穴があることに気づいている人は、果たしてどれくらいいるのでしょうか…。
メリット
まずは本体価格を下げるメリットを考えてみましょう。
薪ストーブは安いものは数万円から、高いものは何百万円(!)もするものまであります。ここは実際に大幅に予算に関わってくる場所なのでガーッと行きたいところです。…なんですが、みなさんちょっと落ち着きましょう。
予算に応じて買うものを選ぶのは当たり前です。でも薪ストーブって、星の数ほど種類がいっぱいあるんですよ。まずそのたくさんの種類の中から、買いたい薪ストーブを選ぶのが大変です。
そしてここに大きな落とし穴があるんですね。
落し穴とは
この時やってしまいがちなのが、予算からストーブを選んでしまうこと。
特に格安設置を目指す人は、まず総予算ありきでそこから本体はいくら、煙突はいくら、と大体の予算を振り分けることになると思います。総予算が60万円だから本体代は20万円以内だな、とかそんな感じですね。
実はそれが落し穴なんですね。
ちょっと話は飛びますが、例えばですよ。五人家族みんなで車に乗りたい時に、いくら予算が少なくても軽トラは買わないですよね。だって二人しか乗れないもん。
車の場合そんなの当たり前だと思うでしょうが、これと同じようなことが薪ストーブではしょっちゅう起こってるんですよ。その結果、せっかく設置した薪ストーブが使い物にならず数年で単なる置物になるという、薪ストーブ恐怖のあるあるです…。
この失敗の原因は薪ストーブの種類の多さも確かにあるんですが、一番の理由は「この薪ストーブがどんなものなのか、売る方がよく分かっていない」こと、そして「買う方が外見だけで判断している」という2点ではないかとワタクシは考えています。
お客さまがどんなシチュエーションで、どれくらいの頻度で使いたいのか。薪は年間でどれくらい確保できるのか。ご近所への煙の迷惑はないか。煙突掃除や本体のメンテナンスは自分でするのか、業者に頼むのか。
プロであればそれらを総合的に判断して、お客さまにベストのものをオススメする、というのが理想的なんですけどね。薪ストーブ界では残念ながらあんまりそんな話は聞きませんね。
この売り手にすら真っ当なノウハウがない真っ暗闇の状態で、とにかく安く安くとやってしまうと、かなりの確率で後々ガッカリします…。そしてそれを改善しようとして、余計にお金がかかってしまうことも…。しつこいようですが、火災の危険性もありますしね。
特に薪ストーブのような暮らしを豊かにしてくれる道具は、ちゃんと時間をかけて、いろいろ勉強して、じっくり検討して、自分たちの暮らしの中に落とし込む必要があると思います。
この「何かを暮らしの中に落とし込む」作業って、実はむちゃくちゃ大事で、それだけで楽々1本記事が書けてしまうくらいなんですが、ここはひとまず「ふむふむ。そうか、暮らしの中に落とし込む必要があるんだな」くらいに考えておいてください。
『くらしの宿Cocoro』の場合は
私たちが薪ストーブに求めたものは、こんな感じでした(順番は思いつきで、優先順位ではありません)。
- 郡上の豊富な森林資源を有効活用したい
- でも薪はできるだけ少ない方がいい
- 古民家は寒いからハイパワーのものを
- 簡単に扱えてメンテナンスがしやすい
- 長寿命
- 調理ができる
- 自分で設置できる
- 本体が軽い
これで充分かどうかは分かりませんが、少なくとも自分たちが「どんな薪ストーブを必要としているのか」は具体的に見えてきますよね。
そこでいろんな機種を調べ、実際に見に行き、また運良く信頼できる販売員さんにも巡り会えたので、長野県のMOKIというメーカーのMD80Ⅱという機種を選びました。

ちなみにここも超重要なのですが!
格安で薪ストーブを設置をお考えの方は、ほとんどの人が自分で設置しようと思われているはずです。それには最後の「本体が軽い」という点が、めちゃくちゃ重要になります!
普通の鋳物の薪ストーブは、重さが大体150キロくらいあります。重いものは200キロを超えます。
古民家であれば、床下の補強が必要になります。それはそれで大変ですが、でもそれ以前に150キロを上回るものは、おいそれと人力では運べません。
『くらしの宿Cocoro』が設置した「モキさん」はその半分以下、わずか70キロしかありません。大人が2人いれば、ちょっと頑張れば運べます。そのおかげで、業者さんに頼まずに、床の補強もなしで、自分でポンと設置ができたわけです。
実はオマケがもう一つ付いてきます。それはオフシーズンに薪ストーブを片付けられるというメリット。片付けることで居住空間の導線を確保したり、夏と冬のメリハリを付けたりできます。『くらしの宿Cocoro』ではこんな風に片付けていますよ、という記事はコチラ。
薪ストーブ格安設置 その②
煙突の価格を下げる
薪ストーブのことを勉強して初めて知ったのですが、煙突ってむちゃくちゃ高価なんですね〜。本体と同じくらいか、場合によってはそれ以上します。
なので、煙突のコストを下げることでも、大幅な節約ができます。
くらしの宿Cocoroでは、ハゼ折りシングル煙突(銀色)を付けました。セオリー的には断熱2重煙突(ダブル煙突)を付けることが多いと思いますので、私たちが選んだ煙突はちょっと珍しいタイプだと思います。
でもこれ、ただ単に安くしたかったわけではないんです。実はそこにはちゃんと理論と理由があるんですね〜。詳しく知りたいかたはコチラをご覧下さい。
メリット
安さで考えるとハゼ折りシングル煙突が断トツです。ダブル煙突の半分以下の金額で購入できます。煙突を支える部品も安いし、全体的に軽いから設置も楽チンです。
ダブル煙突なら足場を組まなければ設置できないようなシチュエーションでも、ハシゴでなんとかなったりもします(※安全には充分ご注意ください)。
デメリット
最大のデメリットは、煙突内にスス(クレオソート)が溜まりやすく、結果的に煙道火災が起きやすくなる点です。煙道火災を起こした時の被害は甚大です。なのでシングル煙突を選ぶ際には、煙突の安全な取り回しをしっかりと考え、1シーズンに何度も煙突掃除をする必要があります。
もう一度言います。火災になりにくい安全な設計と、その後の保守作業はマストですよ!
暮らしの中でそれがしっかりとできるなら、ハゼ折りシングル煙突で一気に値段を下げるという選択肢は、充分アリなんじゃないかと思います。
薪ストーブ格安設置 その③
設置工事費(設計含む)を下げる
これはつまり設計から設置まで、できるところは自分でやっちゃおう、ということです。 業者さんに設置をお願いすると、どうしてもある程度の金額になってしまいます(その分、DIYとは比べものにならないクオリティの工事をしてくれるハズですけどね)。この設置費用が本体代や煙突代と同じくらいになってしまうことも、ままあるようです。
これをDIYでやる場合、まずは置き場所を考え、設計図を書き、本体や煙突が建物に対して十分な安全マージンを確保しているかを自分で考える必要があります。ちなみに安全を確保するにはどのような設置をしたらいいか、というのはホンマ製作所さんが詳しい説明をしてくれていますよ。
http://www.honma-seisakusyo.co.jp/pdf/haze_stove_pipe_inst.pdf?d=2017
それができたら、いよいよ設置です。
ここまできたら必要なのはメリットやデメリットといった細かい部分ではなく、壁(もしくは屋根)をブチ抜く度胸と、高所で安全に作業する技術です。薪ストーブをDIYで設置しようとお考えのみなさん、今のうちにいろいろと経験を積んで、スキルアップに努めてくださーい。
薪ストーブ格安設置 その④
アクセサリーをDIYする
薪ストーブには、実はいろんなアクセサリーが必要です。
例えばコレはMOKI純正なんですが、税込みで74,800円なり。

例えばコレとか。お値段は19,800円なり。

その他、自分で薪を作ろうと思うと、チェンソーや斧が必要になってきます。体力に自信がない方は、薪割り機もいるかもしれません。
それら全てを買っていると、とてもじゃないけど財政が破綻します(笑)
そこで『くらしの宿Cocoro』では炉台と炉壁(遮熱板)をDIYすることにしました。

炉台は厚さ1.6ミリの鉄板を買ってきて、端を落として、全体を面取りします。その後マットブラック(2023年現在はブルーグレイ。毎年色を変えて楽しんでます。って地味やな〜笑)の塗装をしました。
炉壁(遮熱板)はケイカル板という難燃性のボードで作りました。炉台と炉壁のセットを買えば74,800円ですが、自分で作れば6,000円もかかりません。驚きの価格破壊です! ツールセットはよく似た形の物を引っかける台がたまたまあったので、それを流用しています。

DIYにありがちなクオリティーの低さがどうもね、と思われる方もみえるでしょうが、どうしてなかなかのできばえです(って自分で言うな)。宿の雰囲気とちゃんと合ってるし、ワタクシたちの暮らしにはこれで十分なのです。
この辺り、最初に書いた「何かを暮らしの中に落とし込む」とリンクしています。自分たちの暮らしのあり方と、そこにある物が合ってないと、どこかチグハグになってしまいますよね。
それではみなさんの健闘を祈ります!
そんな薪ストーブがある『くらしの宿Cocoro』に、ぜひ暖まりに来て下さいね〜。DIY談義をしたり、みんなで一緒にぬくぬくしましょう♪
心よりお待ちしてまーす。
0コメント