みなさん、こんにちは。岐阜県郡上市でオーガニックな農家民宿『くらしの宿Cocoro』を営むただっちです。ここ数日、日中はとても暖かい日が続いています。薪ストーブの話題なのに、ビミョーに気温と内容がズレてるな…。まぁ、そんな時もありますよね。
※これは2019年11月3日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言、写真等を追記して、その他の部分も修正して2020年5月31日に再度公開しました。
というわけで気を取り直して、前回からの続きです。どうして薪ストーブを自分で設置することになったのか、については前回の記事をご覧ください。
では今回は具体的な設置について、こんな流れでお伝えしますよ!
設置ってどうやるの?
薪ストーブって、そもそもどうやって設置するんでしょうか?
技術は多少必要ですが、手順は普通にDIYをするのとなんら変わりません。特別な道具もほとんど必要ありません。通常のDIYをする人なら、ご家庭にある道具だけでだぶん充分だと思いますよ。
手順はこんな感じです。
- ストーブの設置場所を決め、煙突のラインを設計する
- 必要なものを買いそろえる
- 設置の準備をする
- 設置する
改めて書くまでもなく、当たり前のことでしたね〜(笑)。
ただし、普通のDIYとは大きく違う点が1つだけあります。それは消防署への届け出が必要な場合がある、という点です。これを消防同意と言います。
次の一つ以上に該当する場合、消防長の同意が必要です。
防火地域及び準防火地域の区域内にあるもの。
一戸建ての住宅でないもの。
一戸建ての住宅で、住宅の用途以外の用途に供する部分の床面積の合計が延べ面積の2分の1以上であるもの又は50平方メートルを越えるもの。引用)
さいわい『くらしの宿Cocoro』では上記に該当する点が1つもなかったので、消防同意は不要でした。
何はなくともまずは計画だ
煙突を部屋から外への出す方法は、2つしかありません(考えてみれば当然ですが…)。1つは「屋根出し」もう一つは「壁出し」です。
前回のブログで
「一番理想的なのは、ストーブを部屋の真ん中に置いて、そこから煙突を真上にドーンと立ち上げるスタイルです」
と書きました。これは「屋根出し」ですね。でもこの屋根出しは、よっぽどの技術がないと難しいのです。
理由を説明しますね。
二階建ての家の一階に薪ストーブを設置するのであれば、まず二階の床に穴を空けます。そしてその穴の周りは、厳重に断熱する必要があります。周りが焼けて、そこから火事になっちゃいますからね。まずこれがかなり難しいのです。次に一階から屋根まで垂直に煙突を伸ばします。これも垂直を出す機器がないと、むちゃくちゃ大変です。
仮に運良くそこがうまくいっても、その次はDIY界のラスボス・屋根が待っています。『くらしの宿Cocoro』でも当初は屋根出しを考えていたので、いろいろシミュレーションをしてみたのですが、素人が屋根をいじるのは本当に難しい…。
瓦をどけて、野地板に穴を空け、防水と断熱を施し、場合によっては雪対策をし、もう一度瓦を敷かなくてはなりません。瓦職人の友だちに相談したところ、自分でやるのはムリじゃないかなー、工務店に頼んだ方がいいよ、とのことでした。
ワタクシの技術的にも、工事の内容からも、「屋根出し」はムリだな〜。ということで、部屋の真ん中から煙突立ち上げスタイルは却下しました。
こうなると選択肢は「壁出し」しかありません。
その方向で煙突のラインを設計していきます。時々、煙突を長〜く配管したり、やたら複雑な取り回しをしている人を見かけますが、排煙の効率を考えてできるだけシンプルなラインが理想的です。プラス煙突部品も少なくて済むから経済的だし、あと掃除も楽だしね。
ラインのパターンをいろいろ考えてみて、ようやくストーブの設置場所が決まりました。ポイントは横引きと縦引きの比率です。横引きが長すぎると抵抗になって、煙が出て行ってくれません。逆に縦引きが長いときは煙を引きすぎるので、ストーブの機種によっては途中でダンパーをかましたり、煙突の角度を変えたりして、敢えて抵抗をつける(排煙のスピードを落とす)などの工夫が必要です。

資材をそろえる
一口に煙突といっても、直筒、半直筒、T曲がり、スライド管などいろんな部品からできあがっています。でも設計が終わると、どんな部品がどれくらい必要かなのが分かるはずです。煙突全体の長さも分かります。
必要な部品を書き出して、一気に発注します。直筒は少し余裕をみて、発注した方がいいですね。途中で「あ、足りない」ってなことになると、作業が2〜3日止まっちゃいますから。
煙突はホンマ製作所のオンラインショップから購入しました。配送が早いし、メーカーなので、どんな質問にも的確に答えてくれます。さすがメーカーです。こんなサイトです。
壁に穴を空ける
ここからは写真を中心にお伝えします。
さて、いよいよ煙突を出すために、壁に穴を空けますよ!
で、ここがちょっとやっかいなんですが、煙突の周りには「メガネ石」という断熱用の資材をはめ込む必要があります。これがないと壁から熱が伝わって、家が燃えます…。このメガネ石が四角い形をしているので、壁も四角く抜きます。
ここを抜きます! ガラスの向こうに見える煙突は、愛農かまどの煙突です。下がって見えるのは、きっと気のせいですからツッコまないように。

勇気を出していざ突入じゃ!
って、壁に穴を空けるのもかれこれすでに3回目。だいぶ度胸がついてきましたよ。DIYでは1に度胸、2に経験ですね(笑)
壁は中が土なので、はがすときにけっこう土煙やホコリが出ます。マスクは必需品ですよ〜。

表面の砂壁と土壁をはがしたところ。中はこんな風になってるんですね。

竹小舞、と言って、土壁の基礎になる部分です。この家が建てられたのが65年前なので、きっとその時に組まれたのでしょう。歴史をヒシヒシと感じます。
が、そんな感傷にひたる間もなく、のこぎりでギーコギーコと切っていきます。ああ、無情…。
で、作業すること約1時間。ようやく壁が抜けましたー! 穴の周囲にはメガネ石を設置するための木枠を組みました。中から見るとこんな感じです。外のカエデがいつもより美しく見えます。

外から見るとこんな感じです。壁にポッカリと穴が空いてますね。

いよいよメガネ石をはめ込みます。ドキドキの瞬間だわ〜。

お〜、ピッタリ! こういう時ってDIYの醍醐味ですよね〜♡
煙突を組む
次はそのメガネ石に煙突を通します。コレは穴に煙突をスポッと通すだけなので、簡単です。メガネ石は意外と割れやすいので、こじったりしないように注意して下さい。

次に、外にドンドン煙突を上に伸ばしていきます。途中何カ所かで煙突を支えます。

高所での作業が続きます。くれぐれも安全には気をつけて下さいね。で、組み上がったのがコチラ。最初は大屋根の下に入れてたんですが…

しばらく様子を見たのですが、最終的には大屋根の上に出すことに。こんな感じになりましたよ!

そしてストーブを設置!
煙突が組めたら、最後はストーブを設置場所まで運んできて…

いよいよ煙突と接続します!
意外にも位置は計算通りで、なんの苦労もなくアッサリ設置できました。煙突の垂直もしっかり出てます! まぐれです(キッパリ!)
この薪ストーブは重量がわずか70キロしかないので、ちょっと頑張れば大人2人で運べます。『くらしの宿Cocoro』は築70年近い古民家ですが、床の補強も必要ありません!
そんな軽さも鋼板製の薪ストーブの魅力の1つですね〜。鋳物で120キロもあるストーブとか、どう頑張っても人力ではムリですもんね。

うん、いい感じで収まりました。小ぶりの薪ストーブなので、古民家とのバランスもいい感じです。
煙突はシングル煙突のシルバーをチョイス。この辺はコチラに詳しく書いておきました。
ちなみにこの写真に移っている炉台(ストーブの下に敷いている鉄板)と遮熱板(ストーブの後ろの板)といったアクセサリーも自作です。実は薪ストーブって、本体や煙突だけでは使えないんですね。この辺りのことはコチラで詳しく書いてます。
アクセサリーは購入するとかなりお高いので、ぜひこれもDIYにトライしてみて下さい!
で、ストーブ設置後の幸せ写真がコチラ。

ぬくぬく〜。ネコ満足♡ って、おーい、それはお客さん用のソファーだぞ。
みなさん、『くらしの宿Cocoro』に泊まりに来て暖まっていって下さいね〜。
たくさんの方にお目にかかれるのを楽しみにしています♪
東京も午前中は暖かかったですが、今は(16:00)エアコン付けようか迷うくらい寒くなってきました。ストーブの周りに柵みたいなのは置かないのですか?すごく暖かそう!
421miyakoさん
コメントありがとうございまーす。今日はこっちも寒いですよ。午後6時で12℃くらいかな。
柵は今はまだ置いてないですね~。猫は大丈夫です。お客さんは、どうだろうなぁ。