世界を変える! でもその前に自分の恥ずかしい過去と向き合ってみる

執筆者 | 2021-03-2 | 生き方

みなさん、こんにちは。岐阜県郡上市でオーガニックな農家民宿『くらしの宿Cocoro』を営む、多田っちです。今日は久しぶりの雨です。朝から風も強くて、まるでちょっとした嵐です。

最近のワタクシは木を伐ったり、伐った木を玉切りしたり、玉切りにした木を薪として割ったり、その薪を乾かせるための薪小屋を建てたり、って薪ストーブのことばっかりやないかい! というくらしを送っています。いや、他にもやりたいこといっぱいあるんですけどね。

ここは男らしく言い訳なんかしてみますと、薪割りシーズンって普通は春以降なんですよね。冬の間に倒しておいた木を、春からパカパカと割り始める。そして秋頃までに薪をたくさん作って翌年に備える、ってのがよくある流れだと思います。

『くらしの宿Cocoro』に薪ストーブがやってきたのが2019年の10月。その年は廃建材やら、いただいた木を燃やして何とか乗り切り、翌2020年の春から意気揚々と薪割りを開始したのですが…

田んぼと畑が忙しくて、んなことやってられっかー????

な状態にアッサリ突入しましてですね。農家は春から秋口に薪割りなんてとうていムリである。という結論に達したのであります!(そんな大層な話か)

そこで今年は一計を案じて、冬の間に薪割りを終わらせてしまおうと決意したのですね。ところが今年は例年になく雪が積もってなかなか薪割りができず、ふと気づいたら、アレ? もう春じゃね? というのが今の状態。

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まだこんなにたくさん木があるのですよ

決して怠けていた訳でも、サボっていた訳でもないのに、これは一体どうしたことだ? と思わず天を仰ぎたくなりました。でも天を仰いでいても木は減らないし、薪は一向に増えないので、時間を作ってはせっせせっせと薪を割っているのですね。

いや、でも薪割りってのはホントいい運動になりますね! 寒くても1時間もやっていれば汗が出るくらいポカポカです。冬の間の体力作りにもなるし、これはなかなかいい感じだなぁ。

なーんていい感じになってきたところでようやく本題に。

今回は知人の投稿を見て思ったことを書いてみます。その知人がどんなことを書いていたかをワタクシなりにザックリまとめるとですね

世界には貧困で飢えて死ぬ子どもたちがいる一方で、食料が大量に廃棄されている現実がある。

その原因は欲にまみれた悪いヤツらが金を儲け、人々を支配しているからだ。そんな世界の権力者達はクズで敵だ。

でも自分にはそんな世界を変えることができない。どうしたらいいのかも分からない。

だから一度は死を考えた。

でもやっぱり私はそんな敵を倒して世界を変えたい。

どうしたらいいのか誰か教えて欲しい。

みたいな内容でした。

実際にはかなり刺激的な表現を使っていたり、他者を攻撃していたりして、読んでいる人が少なからず不快な思いをされたんじゃないかと、ワタクシが要らぬ心配をしてしまうような投稿でした。

で、この投稿を読んで内容がどうこう以前に抱いた感情はですね、

「あ〜、オレもこんな風に思ってたわ」

という、あの時キミは若かった〜♪な感情でした。もう20年くらい前の話ですけどね。あぁ、思い出すだけでこっ恥ずかしい…。

で、もう1つ思ったのはですね

「世界の変え方くらいオレが教えたるわい!」

という、これまた上から目線でチョー恥ずかしいアドバイスでした。

恥かきついでに20年くらい前の話をしますと、当時ワタクシはサラリーマンだったのです。ワタクシの人生でたった5年間しかなかった貴重なサラリーマン時代。一体なにをやっていたかといいますと、動物用医薬品の販売員をやっていました。

動物用医薬品とはあまり聞き慣れない単語だと思いますが、読んで字のごとし、動物用のクスリです(こんな説明いらんよな)。

その販売先は大きく2つに分けられます。1つは獣医師、もう1つは畜産農家です。畜産農家というのは牛・ブタ・鶏などの家畜を育てている農家のことですね。そしてワタクシは主に後者の畜産農家を担当していました。

毎日ルートセールスのように農場に顔を出しては「何か欲しいものありませんかー?」と聞いて回る。新商品=新しいクスリが出たら、チラシを持って売り込みに行く。何かが欲しいと言われば持って行く。家畜に病気が出たら売上げがアップする。そんな仕事です。

どんなものを販売していたかをランキングにしてみますと

第一位・抗生物質

第二位・ワクチン

第三位・農薬・除草剤

…。

……。

………。

アゴ外れそうです。

今では「くわばらくわばら…」とつぶやきながら迂回したくなっちゃう物のオンパレードですね。これをワタクシは一月に2,000万円くらい、年間で2億円ちょっと販売していました。全国に動物用医薬品の販売員が何人いるのか知りませんが、たった1人で年2億円のクスリですよ…。全体で見たら恐ろしい量ですよね。まさにヤクの売人です。

ちなみにですが、日本における抗生物質の使用量はこのようになっています。

2016年に公表された薬剤耐性(AMR)対策アクションプランから、さまざまな抗菌薬の使用量に関する情報が明らかにされてきました。

まず、日本全体での抗菌薬の販売量を見てみましょう。

総計1,747トンで、動物用医薬品および飼料添加物として1,021トン(58%)が動物に販売され、ヒトの約2倍となります。また、抗菌性の農薬として148トン(9%)が販売されています。

日本における抗菌薬の使用量 | 酪農学園大学動物薬教育研究センターより抜粋

なんと、人間よりも動物のほうが2倍も多いクスリを使われているのですね。その根底には密飼いや早期育成といった劣悪な飼育環境があり、最近問題になった元農水大臣、吉川某への贈賄にも通じるものがあります。

ワタクシは本当にアホだったので、こういった事実に何の疑問も持たずに熱心に仕事をしていました。そしてこれまたアホだったので、仕事のプレッシャー(というか、今にして思えば仕事への拒否反応ですね)で体調も精神も崩していたのです。自分では全然気づかなかったけど。

でもそれを見かねた友人が「自分や社会を傷つけるような仕事はしちゃダメだよ」とアドバイスをしてくれたのですね。

その温かい言葉を聞いてワタクシはハッと目覚め、仕事を辞め、一念発起して有機農家になったのです。持つべきものは友人です。あの時の言葉には、本当に感謝しかありません。

なーんてウマい話、あるわけないっつーの。せっかくの友人のアドバイスを「なにしょーもないこと言うとんねん」と一蹴して、愚かなワタクシはサラリーマンを続けたのでした。

なのに今、どうしてこんな生活をしているかといいますと、ええっとなんでだっけな…? 年を取るとホント物忘れがひどくなって困るなぁ。

次回までに頑張って思い出します!

後半に続く。

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