※この記事は2021年9月に書いた記事「うちのお米は◯◯い!」を一部修正加筆し、2022年10月に再度公開したものです
みなさん、こんにちは。岐阜県郡上市にあるオーガニックな農家民宿『くらしの宿Cocoro』のただっちです。またもや雨の日々が始まり、心も体もジトッとしてきましたよ…。秋雨前線はどこかへ行って、早くスカッと晴れてくれよー。
そんなお天気に振り回される日々ですが、田んぼのお米たちは全力で頑張ってくれています。

ちなみに稲の穂が出ることを「出穂」と書いて「しゅっすい」と読みます。これは今度のテストに出るので(何のテストや?)、よーく覚えておいて下さいね。
出穂が遅れたのはもちろんお天気が悪かったからなのですが、でもどうやらそれだけではなさそうです。
お米は出穂して2〜3日すると開花します。その後受粉をするのですが、雨だと花粉が流れてしまうから受粉がうまくいかないのですね。しかもお米は1日の開花時間がたったの2時間ほどしかありません。
なのでひょっとしたら意識的に(植物に意識があると仮定してですが)、出穂を遅らせた可能性があるのかも。
まぁこの出穂が10日遅れたことが後々どう響いてくるのか、はたまた全く影響はないのか。今までに経験したことがないので分かりませんが、無事に10月の稲刈りを迎えられますようにと祈る毎日です。
今回はそんなお米についての、ちょっとディープなお話です。
『くらしの宿Cocoro』を訪れたことのある方はすでにご存じでしょうが、お客さまがご飯を召し上がる量が尋常ではない。とにかくもうスゴいんです。3〜4人くらいのご家族ですと、晩ごはんと翌日の朝ご飯で5合はペロリです。子どもが大きい場合だと、一度に7合くらい炊くこともあります。
みなさん、ちょっと考えてみて下さいな。ひと家族で2食で7合とか、あり得ます? 1食につき1人ほぼ1合の計算ですよ? 育ち盛りの子どもならいざ知らず、普通の大人はそんなに食べません(笑)
ちなみにですね、日本人が1年間に食べるお米の量ってご存じでしょうか? 農水省の一番新しいデータでは50キロ強となっていますね。
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0405/05.html
ということは1日あたり130グラム。1合がだいたい150グラムなので、1日1合も食べていないんですね。でもみなさん、1食で1合をペロリと召し上がっちゃう。そんなことができてしまう理由をちょっと考えてみました。
当たり前の1つ目の理由
まず1番シンプルに考えられるのは「うちのお米はうまい!」です。でもこれはまぁ、何のひねりもなく誰でも思いつきますわね(笑)
おらが米自慢ではないんですけど、普通に有機栽培あるいは自然栽培されたお米って、それだけでとっても美味しいです。炊いている間の匂いからして全然違います。しかも『くらしの宿Cocoro』ではそのお米を土鍋、もしくは「愛農かまど」というかまどで炊いているんです。

土鍋やかまどで炊くと、お米が持つ最大の味を引き出すことができます。控えめに言って、むちゃくちゃ美味しいです。その証拠に最近いろんな有名家電メーカーの高級炊飯ジャーが宣伝してますよね。「かまど炊き」やら「おどり炊き」やらって。共通するのは強火で一気に炊き上げるというイメージですよね。でも残念ながらどう頑張っても電気ではムリなんだよなー。
ただでさえ美味しいお米をかまどで炊く。そりゃー美味しくない理由が見つかりません。
意外な2つ目の理由
その次に考えられるのは、「うちのお米はかたい!」です。硬いというとちょっと違うな。「コシがある」という方がイメージがつかめるかもしれません。
日本で最も多く食べられているのは、みなさんごぞんじ「コシヒカリ」ですが、コシヒカリは数あるお米の中でも、かなり柔らかい部類に入ります。柔らかくて、そして甘い。なんだかちょっと新婚生活みたいですねぇ(笑)
でもイセヒカリは違います。みなさんもたぶん一口噛んだ瞬間に、コシヒカリとの違いが分かります。シャキシャキとコシがあって、しっかりとした味を感じられ、そして甘味は少なめ。コシヒカリとは対局にあるようなお米です。
このイセヒカリの特性が食べ疲れをせず、お米をたくさん食べられる理由かもしれません。
ちょっと回り道を
余談ですが『くらしの宿Cocoro』では、お米をモミの状態で常温保存しています。普通の旅館なら良くて玄米か、大抵は白米を冷蔵保存していると思います。でもお米って、モミ→玄米→白米の順で鮮度が落ちるスピードが上がっていくんですよ。白米なんて精米して1週間もすれば、かなり酸化してヌカ臭くなってきます。
『くらしの宿Cocoro』ではモミで保存しておいて、お客さまの予定を考えつつ籾すりをして

その後すかさず精米! という手順を踏んでいます。
モミで保存するのも籾すりも精米も、それぞれ手間はめちゃくちゃかかりますけどね…。ホントにお米の味が全然違いますから。ここは農家のプライドをかけておろそかにする訳にはいきません。
驚きの3つ目の理由
3つ目の理由は「うちのお米はくろい!」です。
あ「はぁ? なに言ってんの?」な発言ですが、実際うちのお米は黒いんですよ…。いや、さすがに真っ黒ではないですよ。写真で見るとこんな感じ。

どうです? お米に黒い粒が見えませんか?
実はこれ、カメムシが吸った跡なんですよね。受粉してできたばかりのお米は、固体というよりはミルクのような液体の状態です。それがどうやら美味しいらしくて、カメムシがせっせと吸うのです。

そうするとお米に黒い点ができます。これが「斑点米」と呼ばれる米で、農家からそれはそれは蛇蝎のごとく嫌われます。
どうして農家から嫌われるかというと、斑点米があるとお米の値段が下がるからです。味は全くと言い切っていいほど変わりません(※ただし斑点米だけを食べると、苦くてとても食べられたもんじゃありません。経験上それだけは止めた方がいいです)。
このカメムシによる斑点米を防ぐために、農薬がこれでもかこれでもかと使われます。現在主流なのはラウンドアップ(グリホサート)と並んで悪名高い「ネオニコチノイド系」という農薬です。
トンデモな一説によると農薬は適切な量であれば危険ではないそうですが、その農薬をまく時間帯は小学生の通学時間を避け、日中は洗濯物を外に干さないように、という勧告がなされます。そんな安全な農薬ですから、当然田んぼにいるいろんな虫や小動物たちは、ほぼ全滅くらいのダメージを負います。
そりゃーもちろん人にも影響が出ます。人には影響はない、なんてこれまたトンデモ説もありますが…。普通に自分の頭で物事を考えられる人なら、それがウソか本当か分かりますよね。ネオニコの危険性についてお伝えしている動画を貼り付けておきます。ネオニコ研究の第一人者、木村ー黒田純子先生のインタビューです。
『くらしの宿Cocoro』では、生き物にそんな甚大な被害を与えてまで斑点を消したいとは思いません。
ということをお伝えする機会を持つために、斑点のあるお米をお客さまに提供しています。これでお米がマズけりゃ立場ないけどさ(笑) ありがたいことに、みなさんから美味しいと言っていただけるので、これでいいのだと自信を持ってオススメしています。
ま、そんな宿が1軒くらいあってもいいじゃないか。
そんな『くらしの宿Cocoro』でしか食べられないうまくて・かたくて・くろい斑点があるお米「イセヒカリ」(ううっ、逆宣伝でしかない気がする…)。ご宿泊のかたは楽しみにしていてくださいね!
もうすぐ新米も取れるし、ワクワクするなぁ。毎年11月から売り切れるまでは、お米の販売もいたします。宿でも販売していますし、遠方のかたへの配送も承ります。うまくて・かたくて・くろい斑点があるお米(しつこいぞ)が欲しいかたはコチラからお申し付けください!
よろしくお願いしまーす!
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