※この記事は2021年9月に書いた記事「うちのお米は◯◯い!」を一部修正加筆し、2023年11月に再度公開したものです
みなさん、こんにちは。岐阜県郡上市にあるオーガニックな農家民宿『くらしの宿Cocoro』のただっちです。またもや雨の日々が始まり、心も体もジトッとしてきましたよ…。秋雨前線はどこかへ行って、早くスカッと晴れてくれよー。
そんなお天気に振り回される日々ですが、田んぼのお米たちは全力で頑張ってくれています。
ちなみに稲の穂が出ることを「出穂」と書いて「しゅっすい」と読みます。これは今度のテストに出るので(何のテストや?)、よーく覚えておいて下さいね。
出穂が遅れたのはもちろんお天気が悪かったからなのですが、でもどうやらそれだけではなさそうです。
お米は出穂して2〜3日すると開花します。その後受粉をするのですが、雨だと花粉が流れてしまうから受粉がうまくいかないのですね。しかもお米は1日の開花時間がたったの2時間ほどしかありません。
なのでひょっとしたら意識的に(植物に意識があると仮定してですが)、出穂を遅らせた可能性があるのかも。
まぁこの出穂が10日遅れたことが後々どう響いてくるのか、はたまた全く影響はないのか。今までに経験したことがないので分かりませんが、無事に10月の稲刈りを迎えられますようにと祈る毎日です。
今回はそんなお米についての、ちょっとマニアックなお話です。
お客さまがお米を召し上がる量が…
突然ですが『くらしの宿Cocoro』のお客さまがお米を召し上がる量は、尋常ではありません。
何を大げさな、と思われるかもしれませんが、実際とにかくもうスゴいんです。
先日は大人2名、子どもちゃん1名のご家族で、晩ごはんと翌日の朝ご飯で7合を完食です。子どもちゃんが中学生くらいだと、1回に1升以上炊くことも珍しくありません。
みなさん、ちょっと考えてみて下さいな。ひと家族で2食で7合とか、あり得ます? 1食につき1人1合以上の計算ですよ? 育ち盛りの子どもならいざ知らず、普通の大人はそんなにお米を食べません笑
ちなみにですね、日本人が1年間に食べるお米の量ってご存じでしょうか? 調べてみると、農水省の一番新しいデータで50キロ強となっていますね。
https://www.maff.go.jp/j/heya/kodomo_sodan/0405/05.html
ということは365日で割ると、1日あたり約130グラム。
1合が150グラムなので、平均すると1日1合も食べていないんですね。でもお客さまは1食で1合以上ペロリと召し上がっちゃう。そんなことができてしまう理由をちょっと考えてみました。
当たり前だよ、な1つ目の理由
まず1番シンプルに考えられるのは「うちのお米はうまい!」です。でもこれはまぁ、何のひねりもなく誰でも思いつきますわね笑
おらが米自慢ではないんですけど、自然栽培されたお米って、それだけでとっても美味しいです。炊いている間の匂いからして全然違います。あの炊飯器から立ち上る、独特のモワッとした匂いが全くしません。アレって実は化成肥料や未熟な有機肥料(畜糞)の匂いなんですよね。
しかも『くらしの宿Cocoro』ではそのお米を土鍋、もしくは「愛農かまど」というかまどで炊いています。
土鍋やかまどで炊くと、お米が持つ味を最大に引き出すことができます。
控えめに言って、むちゃくちゃ美味しいです。その証拠に最近いろんな有名家電メーカーの高級炊飯ジャーが宣伝してますよね。「かまど炊き」やら「おどり炊き」やらって。共通するのは強火で一気に炊き上げるというイメージですよ。でも残念ながらどう頑張っても電気ではムリなんだよなー。
ただでさえ美味しい自然栽培のお米をかまどで炊く。そりゃー美味しくない理由が見つかりません。
意外な2つ目の理由
その次に考えられるのは、「うちのお米はかたい!」です。でも硬いというとちょっと違うんだよなぁ。「コシがある」という方がイメージがつかめるかもしれません。
日本で最も多く食べられているお米と言えば、みなさんごぞんじ「コシヒカリ」。ですがコシヒカリは数あるお米の中でも、かなり柔らかく、そして糖分が多い部類に入ります。柔らかくて、そして甘い。
でもイセヒカリは違います。みなさんもたぶん一口噛んだ瞬間に、コシヒカリとの違いが分かります。シャキシャキとコシがあって、しっかりとした味を感じられ、そして甘味は少なめ。コシヒカリとは対局にあるようなお米です。
このイセヒカリの特性が食べ疲れをせず、お米をたくさん食べられる理由かもしれません。
ちょっと回り道を
余談ですが『くらしの宿Cocoro』では、お米をモミの状態で常温保存しています。
普通の旅館ですと良くて玄米、大抵は白米を低温保存していると思います。でもお米って、モミ→玄米→白米の順で鮮度が落ちるスピードが上がっていくんですよ。白米なんて精米して1週間もすれば、かなり酸化が進んでヌカ臭くなってきます。
『くらしの宿Cocoro』ではモミで保存しておいて、お客さまの予定を考えつつ籾すりをして
その後すかさず精米! という手順を踏んでいます。
モミで保存するのも籾すりも精米も、それぞれ手間と時間がめちゃくちゃかかりますけどね…。ホントにお米の味が全然違いますから。ここは農家のプライドをかけておろそかにする訳にはいきません。
まさかの3つ目の理由
3つ目の理由は「うちのお米はくろい!」です。
「はぁ? アンタなに言ってんの?」的な発言ですが、実際うちのお米は黒いんですよ…。いや、さすがに真っ黒ではないですよ。写真で見るとこんな感じ。
どうです? お米に黒い粒が見えませんか?
実はこれ、カメムシが吸った跡なんですよね。受粉してできたばかりのお米は、固体というよりはミルクのような液体の状態です。それがどうやら美味しいらしくて、カメムシがせっせと吸うのです。
そうするとお米に黒い点ができます。これが「斑点米」と呼ばれる米で、農家からそれはそれは蛇蝎のごとく嫌われます。
どうして農家から嫌われるかというと、斑点米があるとお米の値段が下がるからです。味は全くと言い切っていいほど変わりません(※ただし斑点米だけを食べると、苦くてとても食べられたもんじゃありませんので止めておきましょう。経験者談)。
このカメムシによる斑点米を防ぐために、農薬がこれでもかこれでもかと使われます。現在主流なのは「ネオニコチノイド系」という農薬です。
トンデモな一説によると農薬は適切な量であれば危険ではないそうですが、その農薬をまく時間帯は小学生の通学時間を避け、日中は洗濯物を外に干さないように、という勧告がなされます。そんなとっても安全な農薬ですから、当然田んぼにいるいろんな虫や小動物たちは、ほぼ全滅…くらいの大きなダメージをくらいます。
でも人間には安全だから!
って、そんな訳あるかい。そりゃーもちろん人にも影響が出ますよ。
人体には影響はない、なんてこれまたトンデモ説もありますが…。普通に自分の頭で物事を考えられる人なら、それがウソか本当か分かりますよね。ネオニコの危険性についてお伝えしている動画を貼り付けておきます。ネオニコ研究の第一人者、木村ー黒田純子先生のインタビューです。
『くらしの宿Cocoro』では、生き物にそんな甚大な被害を与えてまで斑点を消したいとは思いません。
ということをお伝えする機会を持つために、斑点のあるお米をお客さまに提供しています。これでお米がマズけりゃ立場ないけどさ笑 ありがたいことに、みなさんから美味しいと言っていただけるので、これでいいのだと自信を持ってオススメしています。
ま、そんな宿がどこかに1軒くらいあってもいいじゃないか。
そんな『くらしの宿Cocoro』でしか食べられないうまくて・かたくて・くろい斑点があるお米「イセヒカリ」(ううっ、逆宣伝でしかない気がする…)。ご宿泊のかたは楽しみにしていてくださいね!
毎年11月から売り切れるまでは、お米の販売をしています。宿でも販売していますし、遠方のかたへの配送も承ります。
うまくて・かたくて・くろい斑点があるお米(しつこいぞ)が欲しいかたはコチラからお申し付けください!
数に限りがありますので、お早めにお願いしまーす!
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