貼り手箕とみごぼうきー私たちが冬の手仕事を始めたきっかけとは

執筆者 | 2024-02-12 | DIY, オススメ記事, ニュース

みなさん、こんにちは。岐阜県郡上市にあるオーガニックな農家民宿『くらしの宿Cocoro』のただっちです。ありがたいことに今年は年明けからお客さまが多くいらっしゃって、やっと一息ついた感のある2月です。

暦の上ではもう春を迎え、しかも今年は妙に暖かい日が多いので、何だか気分はすっかり春! なんですけど…。例年だと郡上ではまだ雪が残っている季節なんですよね。

畑も田んぼも雪に覆われて、なーんもできない時期。それが今なのです。そう、例年ならばね…

冬の間ワタクシたちは一体何をしているのか?

「冬の間って何をして暮らしてるんですか?」 

いろんなかたからたびたび聞かれる質問です。ご近所さんもきっと不思議に思っているに違いない。

雪に閉ざされて農作業が全くできない期間、そしてお客さまがいらっしゃらない時に、ワタクシたちが何をしているかと言いますと

手仕事でございます。

ワタクシたちの場合、主にワラ仕事です。田んぼをやっているおかげで無農薬のワラがどっさり手に入りますからね。

今はコンバインという機械で稲を刈ることが多いですが、コンバインは脱穀と同時にワラをカットしてしまいます。『くらしの宿Cocoro』では昔ながらの稲架(はさ)かけで稲を干します。

この稲架かけの一番のメリットは、ゆっくりと乾燥するのでお米が美味しくなること。そしてワラが手に入ることです。そんなワラを使ってワタクシたちはいろんな物を作っています。

ま、宣伝も兼ねてどんな物を作っているのかを簡単に紹介させていただきます。

その① みごぼうき

先ほどの写真は、穂を落とした稲ワラから穂先だけを抜く「みご取り」という作業工程です。地味を絵に描いたような作業なのですが、ワタクシは大好きです。特に穂先がスポッと抜ける瞬間と言ったら…、ってそんなマニアックな情報はここではいらない笑

この穂先の部分を「みご」と言い、それでホウキを作るのです。

これをみごぼうきと言います。日本各地に昔からある卓上ほうきです。地域によってはニゴぼうきとか、荒神(こうじん)ぼうきとも言います。

糸の組み方やワラの長さ、太さなどでいろんな種類のみごぼうきを作ることができます。

その② 貼り手箕

あとこれはワラ仕事ではありませんが、こんな物も作ってます。

貼り手箕(はりてみ)という、卓上ちりとりです。紙を貼り合わせて作ったちりとりに、柿渋を何度も塗って強度と耐水性を加えています。

この紙を貼り合わせるという部分は、郡上市に伝わる民具「はりぼんぼ」を参考にしました。

先ほどのみごぼうきと一緒に使います。

作ってるワタクシが言うのも何ですが、これが暮らしの中のいろんなシーンでとっても大活躍! しかもかわいい♡

みごぼうきは新品のキレイな時は机の上やキッチンなどに使います。使っているうちに汚れたり先が削れて小さくなってくるので、サッシやガス周り、床、ストーブなどに使用範囲を降ろして行くと、最後まで末永くお使いいただけます。

最後まで使った後は、ゴミ箱へポイ。何ならその辺の木の下に捨ててもらっても大丈夫!

このみごぼうきや貼り手箕の素晴らしいところは、もう使えなくなって捨てる時にゴミがほとんど出ないこと。糸は木綿を使用していて、化繊は一切使っていません。燃えない部分は貼り手箕の金属(ハトメ)くらいでしょうかね。昔の道具ってこういうところがホント合理的でいいですよね〜。

どうして手仕事を始めたのか

ワタクシたちがこういった手仕事を始めようと思い立ったのは2013年の冬からです。その年から始めた田んぼのワラがどっさり余り、それを有効に使いたいから、という理由だったと思います。

そこで近所の人に昔の蓑(みの)や草履なんかを見せてもらったり、博物館に通ったり、実際の作業工程を見せてもらったり。

その後たまたま雑誌で見かけた能登に住むおじいさんのワラ細工がとっても美しく、能登まで車を走らせてそのおじいさんの工房にお邪魔させてもらったりもしました。

能登のワラ細工名人、藪下さんの作品。写真はこちらからお借りしました
http://www.tematsuri.com/blog/post_72.html

その時に思ったのが「こんな素晴らしい技術を途絶えさせてはいけないぞ」というちょっとした決意でした。

とは言え、ワラ細工の職人になるつもりはなくて、自分たちの暮らしの中でそれを作り、そして実際に使う。そんな暮らしをしていきたいなぁ、くらいのボンヤリしたものでした。

そしてコツコツと細かい改良を重ね、マルシェやら直売所やらで販売を始めました。

最初は売れるか不安だったなぁ。だって100均に行けば100円か200円で手に入る物が、1,000円以上する訳ですよ。しかも一生モノでもないし、使い方によってはプラスチック製のものよりも耐久年数は短いかもしれません。

商品には自信がありましたが、恐る恐るという気持ちで販売を始めたんですね。

で、販売してみたところ…。

たくさんの人が購入してくれて、今に至ります。

いや〜、ワラ細工を買ってもらえるのは嬉しいですねぇ。野菜やお米とはまた違う種類の感動があります。

手仕事を通じて伝えたいこと

ワタクシたちが手仕事を続けているのにはいろんな理由があります。

例えば技術や智恵の伝承。

例えば暮らしに必要な物をお金で買うのではなく、自ら作り出すこと。

例えばゴミを出さない暮らし。

SD何とかとかよく分からないことを言い出すずっと前から、先人は自然とそんな永続的な暮らしをしてきた訳です。自分たちがそんな暮らしをしてみて、初めて先人の偉大さに気づく。そんなことがたびたびあります。

『くらしの宿Cocoro』へお越しの際は、ぜひそんな瞬間を味わってみてくださいね。オプションでみごぼうき作りを体験していただくこともできますよ!

そしてお土産にも貼り手箕とみごぼうきをよろしくお願いしまーす! 



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