※この記事は2020年1月に公開した「私たちがお味噌を仕込みつづける理由(前編)」を一部加筆修正のうえ、2023年12月に再公開したものです。
みなさん、こんにちは。岐阜県郡上市でオーガニックな農家民宿『くらしの宿Cocoro』を営むただっちです。早いもので、郡上に来て2年目に突入ですよ!(注・2020年当時) 物置と化していた家の片付けから始まって畑の開墾、家の改修、宿の届け出、そして認可。あれやこれやで、アッという間の1年でした〜。
今年もやりたいことがいっぱいだ。さーて、何から手を付けようかなぁ。あ、でもまずは去年いただいてきた丸太の薪割りからだな。
さて、ワタクシたちは2013年から大豆とお米を育てて、毎年自分たちでお味噌を仕込んでいます。お味噌仕込みは冬の大切な仕事の1つです。お味噌を仕込むこと自体は意外と簡単ですが、当然ながらタネから作物を育てるのは手間も時間もかかります。
今回はワタクシたちがどうしてそんな手間のかかることをやっているのか、についてお伝えしようと思います。
そしてやや耳の痛い内容にはなりますが、日本における大豆を取り巻く状況について述べておきます。ここをちゃんと押さえておかないと、どうしてワタクシたちが大豆を育てているのかが、ぼやけてしまうからです。
ま、耳が痛かろうがかゆかろうが、事実は事実ですからね。そこから目を背けていては何も始まりません。という訳で張り切って行くぞー、おー!
大豆とは
今さらですが大豆ってどんな穀物なのでしょう?
みなさん、よーくご存じですよね。大豆は五穀の一つで(稲、粟、小豆、麦、大豆。ただし諸説あり)、昔から日本の食生活には欠かせない食材の一つとされてきました。
そのまま煮て食べたり、加工したりして食べます。若い大豆は枝豆としても食べられます。主に味噌や醤油、納豆などといった発酵食品として、昔から有効に食されてきました。
原産地に関しては実は不明なんですね。コチラの記事が詳しいです。
大豆の起源
大豆の起源地については東アジアに自生する野生種ツル豆が中国東北部で分化して誕生したと考えられていました。
しかし近年ではイネ(稲)と同じ中国南西部の雲南省とする説が合理的であるとする研究者が多く、正確には特定されていません。中国では古代から五穀(米、麦、アワ、キビまたはヒエ、豆)の一つとして大豆は栽培されており、文献的には、古代・周の時代の中国最古の詩篇「詩経(シキョウ)」(紀元前1046年)の中に、シュウ(大豆)が栽培され、煮て食べていたという記述があります。
このことから中国では4000年前から栽培されていたと考えられています。日本での発祥
日本においては、縄文遺跡からツル豆、リョクトウなどの小さなマメは多く出土しており、大豆のような大きめの豆の出土はありませんでした。
「えだまめ日和」より http://www.edamamebiyori.com/history.html
しかし近年、出土した土器内部の植物圧痕として発見され、縄文中期から後期にかけては日本列島における存在が確認されています。
この時期以前に大陸から栽培種大豆がもたらされたか、あるいは日本列島において独自にツル豆からの栽培化が起こったか等の、可能性が考えられていますが、正確にはわかっていません。
この大豆、無肥料栽培や自然栽培をしている農家には、とっても大事な役割を担っています。
というのも、大豆を育てることで空気中の窒素が土中に固定され、畑の土が肥えてくれるんですね。これを専門的に言うと「根粒菌による窒素固定化作用」と言います。窒素は植物の三大栄養素の1つで、それが土中に増えることで、野菜の生長が良くなるのです。
ま、それだけでもワタクシたちが大豆を育てるメリットは大きいのですが、一般的にはそうは思われていません。それどころか、メリットをはるかに上回るデメリットがあると考えられているんですよね…。
大豆を取り巻く現在の状況
農水省によると、大豆の自給率は約6%です。2020年頃までは農水省によると7%でしたが、最新の情報では1ポイント下落して6%になっていますね…。
ま、6%とか7%とか、サラッと書いてますし、みなさんもこれくらいの数字では特に驚かれることもないかもしれませんけど、改めて考えてみるとひえーっ? って感じですよ。
お味噌、納豆、豆腐、油揚げ、そしてしょう油。普段から和食を食べる人であれば、毎日どれか一品くらいは口にしていると思います。その大豆の自給率がたったの6%ですよ…。
実は大豆には加工用と食用という2つの用途があって、食用に限って言うと、自給率は24%くらいに上がります。それにしても少なすぎますけどね。
つまり94%の大豆は、海外からの輸入に頼っている状況なのです。輸入量ではアメリカがダントツです。そしてブラジル、カナダ、ぐっと下がって中国の順です。でもブラジルの大豆は全量が加工用なので、食用に関して言うと、アメリカ、カナダ、中国の順になります。
残念ですが輸入されてるのはこんな大豆です
輸入のうち、アメリカとカナダの大豆が全体の8割以上(288万トン)を占めているのですが、その9割以上(約260万トン)が遺伝子組み換え大豆(GM大豆)である、と推測されています。これはアメリカとカナダのGM大豆の作付け面積から導き出された数字ですが、輸入大豆のほとんどがGM大豆であると考えても、差し支えありません。
でも普段、私たちが目にするもので「これは遺伝子組み換え大豆です」とキッパリ書かれたものはほとんどありませんよね。こんなに大量に輸入されているのに、なぜでしょう? う〜ん、とっても変ですよね。気になった方はぜひ調べてみてくださ〜い。
とまぁ、ワタクシたちが日々口にしているのはそんな輸入大豆なんですね。
みなさんもとっくの昔にご存じだとは思いますが、遺伝子組み換え作物の安全性は科学的には立証されていません。残念ながら日本ではかなり楽観的(?)に受け止められていますが、EUでは栽培も輸入も禁止、お隣の中国でも栽培は禁止(口にしない綿は遺伝子組み換えを栽培している)されています。
これは安全かどうか科学的には立証されていないとかいうレベルではなく、多くの国で食べるな、キケン!と認識されているレベルです。
そんなGM大豆が山のように輸入され、何のためらいもなく日々口にされています。
つまり世界で最大の遺伝子組み換え大豆の消費地。
それが今の日本であり、大豆を取り巻く状況です。
ここでみなさんの頭にはこんな疑問が浮かぶのではないでしょうか。
「何で日本の農家が大豆を育てないの?」
後編では日本の農家が大豆を栽培することで生じるデメリット、そして『くらしの宿Cocoro』の取り組みについて書いてみたいと思います。
よろしくお願いします!
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