みなさん、こんにちは。岐阜県郡上市でオーガニックな農泊を営む、くらしの宿Cocoroです。ここ数日、晴れては時雨、の繰り返しです。岐阜の山間部ってどこもこんな感じなのかなぁ。畑に行こうと思うと雨が降ってきます。雨だしデスクワークだ、と思うと晴れます。よし、じゃあ布団を干そうと思うと、また降ってきます。ん〜、どっちやねん。晴れるか降るか、どっちかにして欲しいぞ!
先日、小さな農家の仲間たちと収穫祭を開くことができました。今年もお米が取れて良かったね〜、来年も楽しんで田んぼがんばろうね〜、ってな感じで毎年開いている、お疲れさま会です。

くらしの宿Cocoroでは愛農かまどで今年の新米を炊き、畑で取れた野菜たっぷり(でも豚肉は少なめ…)の豚汁を作り、みんなからはご自慢のお料理を持ち寄ってもらいました。郡上に引っ越す前に住んでいた西濃地域からも仲間が来てくれて、とてもにぎやかな収穫祭になりました。あ〜、美味しかった。みんな、ありがとね。
小さな農家を増やす
小さな農家というのは、家族みんなで自分たちが食べるお米や野菜を育てようよ、という私たちが取り組んでいる活動です。スーパーで食べるものを買うのもいいけど、自分たちで育てた野菜やお米は、やっぱり格別だよね〜! オーガニックの野菜はちょっと高いけど、自分で育てればスーパーで野菜を買うより安いしね♪
そこで私たちは畑や田んぼの技術を、ワークショップ形式でお伝えしているんです。意外にも畑より田んぼの方が簡単で、1年間(約10回)のワークショップで、翌年からは自分で田んぼができる実力がつきます。中にはツワモノがいて、うちでワークショップを受けながら、同時並行に自分で田んぼをやっちゃう人もいます(結果的にはそれが一番学びになります)。
私たちは畑や田んぼの楽しさを知っているので、人に会うたびに「農業やれー、農業やれー」と呪文のように唱えています(ウソですけど)。
人間、同じことをしつこく言い続けていると現実がそっちに寄ってくるみたいで、ありがたいことに小さな農家が少しずつ増えてきました。詳しくはコチラから。
で、そんな気の置けない仲間たちとの収穫祭。盛り上がらないわけがありません。
でもみんなの話題は田んぼのことばかり(笑)
今年の失敗やら成功、来年への豊富、こんなことをしてみたい、あんなことをしてみたい。あー、話を聞いているだけで来年への期待が膨らみます。いやー、今年も楽しかった。仲間たちとこういった時間を共有できるのって、本当に幸せです。
田んぼを始めたきっかけ
私たちが田んぼのワークショップを始めて、今年で6年になります。参加してくれたのは延べで50〜60組くらい、人数にすると300人くらいかなぁ。その中で自分で田んぼを始めちゃった人は、5組。約10組に1組の割合ですね。
ところでみなさん、田んぼって素人にはできないような気がしません?
「家庭菜園」はよくあるけど、「家庭田んぼ」ってあまり聞いたことないですよね。実は私たちも農家になった最初の年は、畑しかやっていませんでした。田んぼは難しいと、勝手に思い込んでいたのです。
でも妻が言うわけですよ。
「お米も育てたいよね」
気持ちは分かる。けどやり方が全く分からん…。
そんなある日、名古屋で田んぼの有機栽培の講座が開かれるという情報が! よし、コレだー! と思い、さっそく話を聞きに行きました。
1時間半の講座でした。40〜50人くらいの人が話を聞きに来ていました。講師は岐阜県白川町(合掌造りの白川村とは別です)の農家、中島克己さんという方でした。当時60代後半だったでしょうか。中島さんは熱く語ります。
「田んぼに農薬を使わんようになるとな、虫が増えるんや。これがかわいくてな♡」
「今までは農薬を使っとった。でも使わんようになると、いろんな虫がやって来るんや♡」
「虫はかわいいぞ♡ 殺したらアカンぞ」
わざわざ名古屋まで田んぼの話を聞きに行ったのに、90分のうち50分くらいは
「虫はかわいい♡」
という内容でした…。技術的な話は10分くらいあったかな、いや、なかった気がするな…。そんな中島さんの話を聞いて、
これなら絶対オレにもやれる!!
と確信したのです!(笑) 中島さん、スゲー!
翌年から田んぼを始める
翌年からさっそく田んぼを始めました。でも中島さんのお話しだけでは、さすがに田んぼはできません。そこで中島さんがお住まいの白川町にあるNPO「ゆうきハートネット」が主催する有機稲作の講座に通い、そこで勉強をしながら同時並行で田んぼをすることにしました。
結果的にこれがとても良かったのです。
何が良かったかって、私たちのような素人でも1年目からちゃんと田んぼができるんだ、ということが分かったことが良かったです。今まで田んぼはプロの農家(って私たちも一応プロですが…)がやるもので、素人には難しいと思っていたのに、それが大きな勘違いだと分かりました。
で、そんな手探り状態で田んぼに挑戦した1年目。結果はなんと大豊作でした! えー、こんなに取れちゃっていいの? とビックリしたのを今でも覚えています。
そして周りの人たちももちろんビックリでした。だって無肥料・無農薬で田んぼができるなんて、みんな思ってないからね〜。私たちがどんな風にお米を育てているのかは、コチラから!
田んぼを始めようと思う人にちょっとアドバイスをしますね。
田んぼをやる上で一番難しいのは、技術ではなく、実は水利権なのです。
水利権。読んで字のごとく、水を利用する権利です。地域によっては「よそ者には水は使わせん」というような所も、まだあります。なので田んぼをやりたい方は、水利権をしっかりと押さえる必要があります。
それがクリアーになれば、田んぼは誰にでもできます。だってご先祖さまは弥生時代からずーっと稲作をやってきたんですよ。それが私たちにできないハズがないんです。
その翌年からワークショップを主催する
1年目の大成功で調子に乗って、翌年から田んぼのワークショップを始めました!
というのは半分冗談、半分本気です。
私たちは基本的な技術だけで、初年度にそこそこの成功を収めることができました。それが単なるビギナーズラックではなく、技術に裏打ちされた結果だということも実感できました。
ということはですよ、私たちがその技術を伝えたら、みんなが田んぼができるんじゃないの? およ? 家庭田んぼできるじゃん! と思ったのです。
そこでプログラムを作りました。そして参加者を募ってワークショップを始めたのですね。私たちにとって初めて主催する、記念となるワークショップでした。最初は参加者さんが集まるかどうか不安でしたが、なんと募集を開始してすぐに満員御礼! オマケにお断りする人まで出てしまいました。
ふふふ。みんな、田んぼやりたかったんだね。
そしてHさんがやってきた
田んぼのワークショップを始めて数年経った頃のことです。
いつものように参加者のみなさんに作業の手順やその意味を説明していました。説明も進行も、もう慣れたもんです。…って、すいません。ウソつきました。いつもバタバタでゴメンなさい(汗)

3月のことでした。その年にまく種モミを選別する、塩水選という作業をしていた時のことです。参加者さんが輪になってワイワイと作業しているのに、その輪から外れてチョー不機嫌な顔をしている1人の男性がいたのです。
最初は怒っているのかと思ったのですが、どうやら違います。言うなれば不審者を見るような目で、私たちや他の参加者さんを見ています。「お前たち、何おかしなことやってんだよ?」的なオーラをバンバン発しながら。
私たちのワークショップは、決して安くはない参加費を払ってもらっています。今まで積極的な方はたくさんみえましたが、そんなネガティブな雰囲気をかもす参加者さんは、1人もいませんでした。
それがHさんでした。
後半に続きます。
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