化学物質過敏症のお客さまが安心してお泊まりいただける宿を目指して


この記事は『化学物質過敏症の人はどんな家に住んだらいいのかしら?』というタイトルで2019年11月14日に公開した記事ですが、リライト記事に必要な文言等を追記、修正して2021年6月19日に再度公開したものです。


こんにちは。岐阜県郡上市でオーガニックな農家民宿『くらしの宿Cocoro』を営む多田っちです。

先日も化学物質過敏症のお客さまが宿泊されました。宿を開業して早や5年目に突入いたしまして、年に何組かの過敏症のお客さまがいらっしゃいますが、今までお泊まりいただいたお客さまが調子を崩されたことはありません。今回は『くらしの宿Cocoro』の今までの取り組みや、化学物質過敏症お客さまを実際にお迎えして思ったこと、ワタクシたちが普段から気をつけていること、そして宿の現状などをお伝えしたいと思います。

衣食住は大事だよ


『くらしの宿Cocoro』のコンセプトの一つに「どんなかたにでも安心してお泊まりいただける宿」というものがあります。

ワタクシたちはもともと無肥料・無農薬の自然栽培を続けてきた農家です。そんな農家のサガとして、化成肥料や農薬などの化学物質や食品の添加物などには以前から気をつけてきました。

ですからそれと同じ感覚で、『くらしの宿Cocoro』を始めようと思った時も、宿に使う資材はできるだけ自然素材で、できればオーガニックなもので、とずっと考えていました。

「衣食住」の食はある程度のレベルまで実践できてきたので、次は住だ! と思ったわけです。

とは言え、それまでは建築資材なんて扱ったことがなかったので、使いたい資材をその都度一つずつ詳しく調べる、というなかなか手間のかかる作業を行いました。そして分かったことは

建築資材ってけっこうグレーだね…

という残念な事実です。

そもそもの話をすると(ワタクシは法律上の理由だと解釈していますが)、建築資材って内容成分が明示されていないことが多いのです。食の世界では成分が公開されていないことなんて、まずないですよね(たまに偽装はありますが…)。

そして「自然素材」「無添加」などといかにも雰囲気よさげに書かれていても、メーカーに電話をして突っ込んで聞いてみると、実は化学物質が含まれているということが何度かありました。

例えばホームセンターなどでよく見る塗りやすい練りタイプの漆喰。DIYで使われる方も多いと思いますが、あれにもたいてい化学物質である合成樹脂が添加されています。塗りやすさと保存性のためでしょうね。

アレルギーをお持ちの方がせっかく体に良いと考えて自然素材を使ったのに、実は化学物質が含まれていた、なんて泣くに泣けません。じゅらく壁に漆喰を塗った時に、練りタイプの漆喰やシーラー(アク止め剤)を使わなかったのも、同じ理由からです。

ちょっと脱線しますが、先ほど「建築資材」と書いたのには意味があります。

実は農業界にも同じようなことがありました。ワタクシが記憶しているのは、1980年前後の、いわゆる「第二次有機農業ブーム」の時です。

当時はまだ法の整備がされておらず、どんな野菜でも勝手に「有機野菜」と名乗って、付加価値を付けて販売することができたのです。先輩農家から聞いた話では、農薬を使っていない風を演出するために、出荷前だけ虫を殺さずあえて虫食いの穴を作る、なーんて高度な技術もあったようです。果たしてそんなにうまく行くのかどうかは知りませんが(笑)

食べ物の場合は日々口にするものだから、その後ちゃんと法が整備されましたが(といっても、法整備までに20年近くかかったと記憶していますが)、建築資材はそこまでの緊急性がない、ということなのでしょうか。

でもワタクシたちは化学物質過敏症を始めとするさまざまなアレルギーは、衣食住すべてに関係があると考えています。ですので改装に使う資材はできるだけ自然素材で、と考えたのです。

『くらしの宿Cocoro』での具体的な取り組み


『くらしの宿Cocoro』を作った時に特に重視したのは、床材、壁材、床に塗るオイル、壁に塗る漆喰やペイントなど、家の中で占める面積が大きいものです。そこから放出される物質は、家の中でかなりの量になります。そして気密性が高い現代の家ほど、当然その影響は大きくなります。まぁ『くらしの宿Cocoro』は古民家なので、気密性はそれほど高くないんですけどね。

どんなものを使ったのか、その一例を紹介しますと

信頼のアウロです! 

アウロの取り組みは本当に素晴らしくて、自然素材といえばもうこの1択しかない! くらいのレベルです。

これはNo.129という無垢材に塗るワックスなんですが、100%天然原料(鉱物含む)でできています。オレンジの爽やかな香りで作業をしてても全然臭くありません。それどころか超ゴキゲンになれます。

普段のお掃除にもAUROを使っています。AUROにもクイックル◯イパーのような使い捨てシートもありますが、コチラのほうが断然エコでしかも経済的です。

お客さまからのご希望があれば、一緒にお掃除をすることもあります。お掃除の様子はコチラからどうぞ!

ちなみに無垢材に初めてワックスを塗ると、こんな風になります。

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無垢材の床にオイルを塗るとこんな感じになりまーす

下が無垢のまま、上の方にはオイルがぬってあります。オイルを塗ると木がしっとりするのと、あと木目がとてもキレイに出ます。無垢材はそのままだと弱いので、オイルを塗って固める必要があります。初めて塗った時は感動したなぁ。床を貼ってくれた大工さんが後日「お〜、ええ色になった」と喜んでくれたので嬉しかったです。

反対に、どうしても自然素材でできなかったものもあります。タイルのボンド、目地材、水回りのコーキング材です。これはいくら探しても「これだ!」というものが見つかりませんでした。もしご存じの方がいらっしゃれば、ぜひ教えて下さい!

とまぁ、自分たちができる限りのことを考えて、右往左往しながらDIYを進めてきました。

初めての化学物質過敏症のお客さまをお迎えして


そんな2019年のある日、知人から一本の電話が。

「友だちが化学物質過敏症なんだけど、泊めてもらえるかな?」

おお、遂にそんなお客さまが来ちゃいますかー。

今までそのための準備をしてきたとは言え、具合が悪くなられたらどうしようかと、ちょっとビビるワタクシたち。

詳しく話を聞いてみると、久しぶりに実家に里帰りをしたはいいけど、実家の香りなどが強すぎて、長時間はとてもいられない。かと言って安心して泊まれる場所もないし、どうしたらいいものかと悩んでいたそうです。

しかしまぁ、ここで受け入れをビビっていても始まらない。まずは実際に『くらしの宿Cocoro』に来ていただいて、実際の様子を見てから判断してもらうことになりました。当然お客さまからはいろんな質問が出ます。

「洗濯洗剤は何を使っていますか?」→木灰を煮出したもの(自家製)とムクロジの実(ソープナッツ)です。

「柔軟剤は?」→使ってません。

「シャンプーは?」→オーガニックの石けんです。

「ファブ◯ーズは?」→持ってませんし、使ったこともありません。

「お掃除はどうやってしますか?」→基本的にはほうきと雑巾がけです。

「食べ物は?」→うちで自然栽培した野菜とお米です。

「化学調味料とか使います?」→使いません。

「エアコンは?」→ありません。

「テレビは?」→ありません。

「Wi-Fiも?」→ありますがご要望によりオフにできます。

いろいろ話をした後のお客さまの感想は

「なんかここなら大丈夫そう」

いやー、少し安心しました。まずは様子見で1泊していただこうということになりました。

そして緊張の翌朝。

「家よりもよく眠れました!」

そうですか! それは本当によかったです。結局お客さまはそのまま3泊されました。快適にお過ごいただけたようで、ホッとしました。今までやってきたことがあながち的外れでなかったことにも、安心しました。

そしてワタクシ気づいたんです


化学物質過敏症のかたって古民家がいいんじゃない?

理由はいくつもあります。ざっと挙げてみても

  1. 建材の大半がナチュラル(化学物質や新建材が使われ始めるのは70年代くらいから)
  2. 気密性が低い(だから寒い、というデメリットもありますが…)
  3. 夏涼しく、冬暖かい(意外でしょうが本当なんです)
  4. 電気の配線が少ない(昔はコンセントがたくさんあると固定資産税が高かったそうですね)
  5. かわいい♡

5は個人的な趣味であり100%主観ですが、それ以外はけっこう本気で言ってます。化学物質過敏症の方が悩まれていることが、古民家に住むことで大きく解決に向かう! と、そこまで思うのはワタクシの思い込みかなぁ?

あと古民家は夏は涼しいけど、冬は寒いからイヤだな〜、なんて話をよく聞きますが実際にはそうでもありません。それはどうしてかと申しますと

縁側があるからです!

昔のじーちゃんばーちゃんは昼間はポカポカの縁側で何か作業をしてましたよね。ネコも昼間はいつも縁側でゴロゴロしています。冬でも太陽さえ出てくれれば、暖房はいりません(ただし縁側から別の部屋に移動するとチョー寒いですが…)。

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現に今も、縁側でこの文章を書いています。ヌクヌクしてて幸せです。地元のちゃんとした大工さんが建てた古民家だと、ひさしの角度が絶妙で、夏は日光をさえぎって涼しく、冬は部屋まで日を通してくれます。

もう一つ古民家でよく聞くのは、足下から冷えるというものですが、これは床下に断熱材をいれることで、かなり改善できます。みんなでくつろげるリビングは元々は畳だったのですが、床下に断熱材を貼り、床はフローリング(無垢材)に替えました。畳もいいんですけど、ダニやほこりが溜まりやすいのが難点です。掃除も掃除機が必要だし。呼吸器系のアレルギーがある方は、フローリングの方が断然オススメです。

そんなどなたにも快適に過ごせる宿、『くらしの宿Cocoro』に泊まりに来てくださーい。

お待ちしてまーす♪

4 コメント

  1. noritomi294

    キャンプ用の折りたたみの椅子を、南向きで北風が当たらないところに持ち出して、ひなたぼっこをしています。
    これは、縁側だ。家を建てる時に、縁側の提案はなかった。残念です。

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  2. roy-7303-pkbs

    はじめまして。
    いつも楽しく、ワクワクしながら拝見しております♪
    憧れの縁側❤️
    いつかはサザエさんのフネさんのように、着物を着て、縁側のある家で自給自足の、足るを知る生活。
    夢は膨らみます(^ ^)
    これからも、生活に根差した情報、楽しみにしております♪

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  3. kurashiCocoro

    久留米じいじさん
    あはは、ポータブル縁側ですね! お日さまポカポカで気持ちよさそう。

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  4. kurashiCocoro

    tonjilさん
    初めまして~。コメントありがとうございます。ぼくは縁側で波平さんといささか先生を思い浮かべてました。サザエさん、なかなかの影響力ですね(笑)
    感想もありがとうございます。励みになりまーす☆

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