【この記事は2020年9月に公開した記事「なんでお客さんが仕事してくれるんや?」を、必要箇所の修正・加筆を行い、2023年1月に再投稿したものです】
みなさん、こんにちは。岐阜県郡上市でオーガニックな農家民宿『くらしの宿Cocoro』を営むただっちです。
秋の4連休が終わりました。ありがたいことに連休の間ずっとお客さまがいらっしゃったので、ほどよい緊張感を保って毎日を過ごすことができました。そして郡上は日に日に寒くなってきましたよ。今は彼岸花が満開で、来週はどうやら最低気温が10℃くらいまで下がりそうです。
とはいえ日中は25℃を越えそうなので、まだそれほど気をもんではないんですけどね。え? 何に気をもんでるかって? そりゃー決まってます。
ストーブ、いつ出そっかな〜
です!
あ、ストーブと言ってもファンヒーターとかではありません。いわゆる薪ストーブってやつです。薪ストーブって片付けられるの? という素朴な疑問が生まれるでしょうが、『くらしの宿Cocoro』の薪ストーブは大丈夫!
写真に写っているこの薪ストーブは長野県のモキ製作所のものなんですが、70キロとかなり軽量の部類に入ります。なので、オフシーズンはリビングから片付けられて、縁側の端っこにチョコンと鎮座しています。ネコと一緒にひなたぼっこしてたりしてて、かわいいんですよ。
ちなみにこの薪ストーブは自分で設置したんですけど、設置したんだからたぶん片付けもできるだろう、という安易な発想です。
で、その薪ストーブをどうやって片付けるのかって記事はコチラから。
目下の関心事はこの薪ストーブをどのタイミングでリビングに引っ張り出してこようかということなのですね。
この冬が寒くなるならできるだけ早く出したいけど、薪ストーブがあったら当然焚きたくなりますよね。するってーと(なぜか伝法調)シーズンを通して薪がたくさんいるわけですよ。そしてシーズン後半に薪が足りなくなって青息吐息に…。
あぁ、そんな文字通りお寒い未来が確実に見えるわ。
という訳で、そろそろ出そうか、いやもうちょっと待とうか、とワタクシの中の天使と悪魔がせめぎ合っているんです。まぁ薪の在庫がたくさんあればいいんですけどね。ということもあって、現在絶賛薪割り中です!
といっても割っているのはワタクシではありません。
ああ、やっと前フリが終わって本題に入れました。
薪を割っているのはそう、お客さまです!
実はこの薪割り体験は、大変ご好評をいただいている暮らしの体験の1つです(※薪割りをするための薪がない時期は当然ながらできません)。
「ちょっとしんどいですけど、薪割りやってみます?」
と聞くと、中学生から大人までほとんどのかたが「やりたーい!」とお答えになるんですね。あ、小学生も「オレもやる!」と無謀にも言ってくれるんですけど、さすがにそれは危ないのでそんな時は手斧で板を割る体験をしてもらいます。
注意する点や危ない動き、うまく割るコツなどを最初にお伝えして、実際に割っていただきます。初めはみなさん当然へっぴり腰なんですけど、徐々にコツを掴んで腰が入ってくると一発でパカーンと割れる人も出てきます。
このパカーンと割れた時が気持ちがいいもんだから、いつまでもパカーンを求めて割っていたくなります。きっとストレス解消にもなるんでしょうね。ワタクシ、普段からあんまりストレスないから分からんけど笑
この薪割りに限らずですが、「お客さまに農と暮らしの体験をしてもらうこと」が、『くらしの宿Cocoro』の「農泊まんきつプラン」です。各プランの詳しい説明はコチラを読んでくださいね。
ただこのお客さんが作業をしている様子がご近所さんにはどうやら不思議みたいでして…
「なんでお客さんが仕事してくれるんや?」
と今までに何度聞かれたことか(汗)
田舎で暮らしていると、田んぼや畑で作業をしたり、家のメンテナンスをしたり、季節ごとの準備をしたり、保存食を作ったり、もちろん薪を割ったり。それはそれは毎日いろんな仕事があります。ワタクシたちが住んでいる岐阜県郡上市は冬が厳しい地域なので、冬の備えも必須です。
しかもそれって「自分たちが生きていく上で必要だからやらなくちゃいけないこと」なんですよね。
それをこちらがお金を払って誰かにやってもらうならともかく、どうして向こうがお金を払って仕事をしてくれるのか? しかも体を休めに宿に泊まりに来たはずのお客さまが、なぜか汗水垂らして一生懸命に作業をしている。
ま、ちょっと引いた目で見ると確かに不思議かもしれませんねぇ。
そういえば専業農家をやっていた時代にも同じようなことがありました。イベントの稲刈り体験(もちろん有料です)を見た近所のじーさまがひと言。
「お〜、アルバイト雇っとんのか? 儲かっとんのう」
いやいや、そんな訳ないでしょーが。
お金を払ってでもしんどい農体験をしたい。そんな人がいるということが、年輩のかたにはどうしても感覚的にしっくり来ないんでしょう。
でもこの写真の参加者さんの表情が全てを物語ってるとワタクシは思うんですよ。アルバイトではこの満足度マックスな感じにはならないですよね。
じーさまたちが幼少期を過ごした時代も関係してるのかなぁ。そのじーさまに話を聞いたら「朝は家のことを手伝ってからじゃないと学校に行かせてもらえんかった」と言ってましたし、他のかたも「稲刈りの時期は学校には行かんかった」とおっしゃってました。
でもそんな話をしてる時はなんか楽しそうなんだよな〜。なんだよ、じーさんたちツンデレかよ、ホントは農作業好きなんじゃないの? と思います。
農作業に対してそんな風にけっこうネガティブ、でも少しポジティブな思い出がある世代には、泊まりに来たお客さんが一体なぜ農作業を…? という疑問が生じるのは仕方ないことなのかもしれませんね。
でもワタクシ的には『くらしの宿Cocoro』がやっているような農と暮らしの体験は、これからの世界を生きていく上で本当に有意義なものだと思っています。そして「農泊まんきつプラン」のプログラムにもとっても自信があります!
「なぜお客さんが作業をするのか」
そんな不思議を味わいに、ぜひ『くらしの宿Cocoro』に遊びに来てくださいね〜。
これから楽しみ満載、収穫の秋です。お野菜たっぷりご飯を作ってお待ちしていまーす♪
需要と供給…。
見る視点が変わると、七不思議のような異質さが生まれちゃうって本当に面白いですね。
にゃん太郎 (id:ss-zakkadan)さま
コメントありがとうございます! お金って貯めるより誰かのために使った方が幸せなんじゃないの? と思う今日この頃です。