みなさん、こんにちは。岐阜県郡上市でオーガニックな農家民宿『くらしの宿Cocoro』を営むただっちです。郡上はかなり冷え込んできました。最近の朝は10℃を軽く下回り、数日前は6℃でした! うわー、寒いよー。もう霜が降りそうだよー。
今回はですね、薪ストーブそのものの記事ではなく、「薪ストーブを設置する(もしくは購入する)前にこれはやっておいた方がいいよ!」というポイントについて、ワタクシの実体験を交えてお伝えします。
薪ストーブの導入を検討されているかたって多いと思うんですけど、大きなハードルの1つが費用ですよね。ネットとかで調べてみると、だいたい100万円くらいの金額が相場として出てくるかと思います。
この費用には
・薪ストーブ本体
・煙突
・設置するための工事費
が含まれます。
本体と煙突は選択肢が多いので大きくコストを下げることはできますが、問題は設置工事費です。ここは100%外注なのでコストダウンがちょっと難しい。そこでその部分をなんとか自分でできないものか、つまりDIYで薪ストーブって設置できないものだろうか? これは多くの人が一度は考えるところじゃないでしょうか。
その手順は追々ご説明するとして、じゃあ設置の前にどうしても押さえておくことってなんでしょう。
郡上に移住した時に考えたこと
去年は郡上に引っ越したばかりだったので、石油ファンヒーターだけで冬を乗り切りました。でもファンヒーターは空気が乾燥するし、臭いもでるし、やっぱりあんまり好みじゃない。というわけで、眠っていたアラジンを引っ張り出して、メンテナンスしてみました。

アラジンってデザインはかわいいけど、どうしても火力が弱いんですよね。気密性の高い家ならこれで充分なのかもですが、古民家にはあまり向いてません。以前に住んでいた築70年の古民家でも、アラジンとガスファンヒーターの二本立てで部屋を暖めていました。
その家がなかなかシブくてね、古くて立て付けが悪いもんだから、すきま風がピューピュー入ってくるんですよ。壁も薄かったな。なのでいくら部屋を暖めても、強い風がゴーッとひと吹きすれば、あっという間に部屋の温度が下がってしまう…。ずっと暖めては冷えて、の繰り返しです。おかげで暖房費がけっこうかかったなぁ。
でもね、郡上はそこよりもずっとずっと寒いのですよ! 冬なんて1日中氷点下の日もあるし、雪もドッサリ降ります。こりゃーなにか根本的な寒さ対策をしなきゃなぁ、なんて夏の間からずっと考えていました。
一番理想的なのは「薪ストーブ」なんだけど
一番理想的なのはやっぱり「薪ストーブ」です。なんといってもハイパワー! そして郡上は森が多いので、燃料である木が比較的簡単に入手できそう。うまくいけば無料で手に入ることもあります。
くらしの中に炎を灯したい人にはあこがれですよね〜♡
しかし薪ストーブにはたいへんに大きな欠点がございます。
それはズバリお値段…。
実際薪ストーブを購入し、設置するといくらくらいかかるのか試算してみましたよ。
ストーブ本体はピンからキリまでさまざまです。価格の安い物はホームセンターで数万円から、高い物は百万円オーバーのものまであります。超安価なものと超高価なものは除外して、実用に耐えうる現実的な薪ストーブの価格は30〜50万円前後ってところでしょうか。
でも薪ストーブは本体だけでは機能しません。そうです。煙突が必要なんですね。この煙突が意外にも高くて、しっかりしたもの(溶接二重煙突)は、だいたい薪ストーブと同じくらいの金額がかかります。ということで30〜50万円。
そしてさらには設置に関わる工事の代金。これは設置方法にもよりますが、運良くごく簡単な場合でいければ10〜15万円くらい。通常の工事で30万円オーバー。中には屋根をいじって50万円なんてこともあります。う〜ん、中古のトラクターが余裕で買えるじゃないか。って農家じゃなきゃ必要ないですね。
ということで一番安いケースで計算してみました。
- 本体 30万円
- 煙突 30万円
- 工事費10万円
- 計 70万円
- 消費税 7万円
- 合計 77万円!!

一番安くて77万円! ハハハ、ムリムリ。そんなお金あるわけないし。
ということで薪ストーブ案は残念ながらハイ、却下! そりゃそうだよね〜、のハズだったのですが、な、なんとここで朗報が!
なんと薪ストーブ導入に向けた計画がスタート
以前に『くらしの宿Cocoro』にの立ち上げにもご協力いただいたお客さまから、薪ストーブ購入の資金援助の申し出があったのです!
たぶん以前にワタクシたちが「薪ストーブ欲しいけど、そんなお金ないし買えないんですよね〜」という話をして、それを覚えていてくれたんだと思います。
え〜? そんなことがあっていいの?
降ってわいた話に戸惑うワタクシたち。そんな大金の申し出を「あざーっす」と軽く受けてしまっていいのだろうか? 自分たちで苦労してお金を貯めたほうがいいんじゃないだろうか?
お話しをいただいてから1ヶ月ほど悩みました。でもお客さんいわく
「ネコちゃんたちが暖かく過ごせますように」

と。そっか、ネコたちのためなのか〜。よし、ここはお言葉に甘えよう。そして利益を出して、ちゃんととお返しをしよう。
この時点から、薪ストーブ導入に向けた計画がスタートしました!
なぜ薪ストーブが必要なんだろう?
一番最初に真剣に考えたのは、ワタクシはなぜ薪ストーブが必要なのかという洗い出しでした。ワタクシたちが大きな買い物や決断をする時は、必ずこの作業をします。
私たちが薪ストーブに求めている要素をいろいろ考えてみて、まずはそれを整理してみよう。そうすれば私たちが薪ストーブを買いたい理由が、もっとハッキリと見えてくると思いました。
- パワフルな暖房
- 宿の雰囲気作り
- くらしを彩るもの
- お料理に使いたいとか?
- インテリア?
- もしかしてステイタス?
などなど、思いつくままにいろいろと出ましたが、最終的には
- 暖房器具
- 森林資材の有効活用
- お客さまへの持続可能な暮らしの提案
この3つが残りました。つまりその3つが、ワタクシたちが薪ストーブに求めている価値だったんだなぁということが分かりました。
どんな薪ストーブが必要か
では次に、その3つの条件を満たすストーブについて調べてみました。
①は楽勝です。ぶっちゃけ薪ストーブなら、どれでもOKです。ストーブなので、暖めてくれるのは当たり前ですよね(笑)
③についても『くらしの宿Cocoro』に数百万円もする薪ストーブはどう考えても分不相応ですが、宿と薪ストーブのコンセプトがマッチしていれば、愛農かまど同様、お客さまへの持続可能な暮らしの提案として成立します。
問題は②です。通常、薪ストーブは燃やせる木がだいたい決まっています。一番いいのは広葉樹で、堅くて火が長時間もつもの。その中でもナラ、クヌギ、カエデなんかが特に好まれるようです。販売価格も高いし炎もキレイだと言われていますが、そこはあまり重要ではないかなと。
次に針葉樹、杉やヒノキですね。郡上は森林が多いので、これは探せばいくらでも手に入ります。針葉樹をくべると一時的に火力が上がりますが、柔らかくて燃え尽きるのが早いので、大量にストックしておく必要があります。
あまり良くないと言われているのは松や竹。油分を多く含んでいるので、燃やすとストーブ内の温度が一気に上がってしまい、ストーブがゆがんだり溶接がはがれたりといった故障の原因になるからです。
郡上で一番手に入りやすい木は、なんと言っても針葉樹です。たまに広葉樹もありますが、定期的にある程度まとまった量を、ということだとやはり針葉樹。
一般的に薪ストーブと言えば、みなさんは鋳物でできた、どっしりしたものを思い浮かべると思います。溶けた鉄を型に流し込んで作るのが鋳物です。それとは別に鋼板を溶接で貼り合わせたものがあります。
鋳物製は広葉樹をゆっくりと燃やすのが得意です。でも鋳物製で針葉樹を燃やす時は、温度が上がりすぎないよう、技術と注意が必要です。それに対し、鋼板製は、燃やせる木の幅が広く、温度変化にもそれほど気をつける必要はありません。機種によっては竹までガンガン燃やせるものもあります。
鋳物は暖まりにくいけど、冷めにくい。鋼板製は暖まりやすいけど、すぐ冷える、というまるで正反対な特徴もあります。そして鋳物は本体重量が100キロを優に超えますが、鋼板製は80キロ以下のものも存在します。
『くらしの宿Cocoro』での使い方を考えてみると、
- いろんな木を燃やせること
- すぐに暖まること
- オフシーズンは片付けておけること
こりゃどう考えても鋼板製だね。というわけで、鋼板製薪ストーブにアッサリと決まりました。
自分たちでメーカーを調べたり、鋼板の薪ストーブを使っている友だちの家にお邪魔させてもらって使い勝手などを聞いたりして、購入する機種を絞っていきました。
鋼板製薪ストーブのもう一つのメリット
鋼板製に決めたのには、実はもう一つ大きな理由があります。それは鋳物製に比べて薪の使用量が少ない点です。一般的には鋳物製の5分の1(実際には3分の1程度らしいですが)で済むと言われています。
これはなぜかと言うと、ストーブが軽い(使われている鉄が少ない)ことで、暖まる時間が短くて済むからですね。
愛農かまどを作ろうと思った時、ワタクシたちがいいなと感じたのは、できるだけ少ない木でご飯が炊けるという点でした。
同じエネルギーを得ることができるのであれば、燃料は少ないほうが良いに決まってます。1人1人が燃料の消費量を抑えることで、結果的にたくさんの人が限られた資源を使うことができるからです。
そこにあるから、という理由でみんなが資源をバンバン使っていたら、やがてそれが枯渇することは誰にでも分かりますよね。いくらそこにあっても、やっぱり1人1人の使用量は減らしていきたい。そういう点からも、やっぱり鋼板製だな、となったわけです。
私たちがどんなメーカーの薪ストーブを選んだのか、についてはコチラからどうぞ!
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